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上野千鶴子『情報生産者になる』はライターとして学びの多い一冊でした!

上野千鶴子『情報生産者になる』読了。とてもおもしろかったし有用でした。読めてよかった! 読み終えての感想や考えたことなどを書き留めておきます。

読もうと思ったきっかけは筑摩80周年フェアと東大祝辞

読んだきっかけはkindleストアで6月20日まで実施されていた「筑摩書房 創業80周年フェア」です。これ「80周年を記念して80タイトルが80%オフ」という冗談みたいなセールでした。

SNSで見かけて知ったときにはもう終了日の前日とかだったので、内容をあまり吟味せず気になったタイトルを6冊ほど購入しました。そのうちの1冊が『情報生産者になる』でした。

ちなみにフェアでの購入価格はまさかの176円でしたよ。


上野千鶴子さんのお名前は、昨年の東大の入学式祝辞が話題になったときに知って、おぼえていました。

祝辞の内容が印象深かったので「あの先生の本ならきっとおもしろいはず!」と真っ先にダウンロードして、今回購入したkindle本の中でも最初に読みました。

論文の書き方についての本……!?

割引と著者名に釣られて購入した本なので、何をテーマにしたどんな内容の本なのかは、購入前に確認していませんでした。

『情報生産者になる』というタイトルから、情報発信がテーマなのかなと漠然と思っていた程度です。

その状態で読み始めて、目次を眺めて「はじめに」を読んでみて、これが学問や研究について書かれた本だと気づきました。

「情報生産ってつまり論文を書くこと? これはもしかして論文の書き方について書かれた本なの?」と気づいて、ちゃんと読み終えられるのだろうか……と不安になりました。

大学で卒業論文は書いたけど、人生で論文書いたのなんてそれきりだしなぁ。

とはいえ読みやすい文章だし「せっかく買ったんだから読もうっと!」と読み進めることにしました。

読みやすく興味深いのですらすら読める!

読んでみると、たしかに「情報とは」「学問とは」みたいなことから始まり、研究の進め方の大局的な話から始まって、進め方に沿って具体的なノウハウを伝えていく本だとわかります。

学術研究なんて遠い世界のことかと思いきや、読みやすくてわかりやすいので不思議とすらすら読み進められるんですよね。

研究の進め方や論文の書き方は具体的なノウハウとして書かれ、さらに実際の研究の事例やエピソードがたっぷりでとても興味深く読めました。

教育者としての上野先生と学生たちの間での印象的な会話や発言がたくさん収められているのが親しみやすいです。「上野センセ!」ってよく出てきて、いや「センセ」はないだろう80年代少女漫画かよ……とツッコミたくなったりもしましたが。

社会学の研究テーマや事例がたくさん取り上げられているのも勉強になりました。

論文を書くノウハウだけで終わらず、最後は「伝える」ことについてしっかりと書かれています。自分自身のプロデューサーになる必要性について書いたうえで、情報を生み出し、届けようとする人にエールを送って締めくくっているのにはちょっと感動しました。

ライターとして学びの多い本でした

読み進める中で何度も「わたしだったら何を問うだろう」「わたしならどうするだろう」とついつい考えました。大学生になる前にこんな本を読みたかったなと思ったし、今からでもまた大学で学ぶのはありだろうか? なんてこともちょっぴり考えたりしました。

また、この本はライター、ブロガー、YouTuberとにかく自分で情報発信をしようとする人は読むべきだと思いました。学術研究とエンタメなどのコンテンツは別物だけど、情報を生み出し届けるというところは同じです。

一次情報を重視することや目次を作ることの大切さ、ターゲットを明確にする必要などなど、ライターとして改めて肝に銘じたいなということも多かったです。

情報収集やインタビュー、分析のノウハウは、取材記事を書くときにもエッセンスを生かせそうだなと思いました。

また読み返したいです。